がんと診断されたらどのような治療法があるのか気になりますね。
患者さんそれぞれの病状によって治療法は異なりますが、一般的な治療法として3つご紹介します。
手術、化学療法、放射線治療が代表的な治療になりますが、それぞれ1つだけで完治を目指せることは少ないのです。
これらを組み合わせてより効果の高い治療を目指すことを集学的治療と言います。
ここではそれぞれの治療の概要について説明します。
手術療法
手術療法は癌のある部分を取り除く局所治療になります。
手術ができるということは早期癌で治るんでしょ?
と思われる方も多いかもしれませんが進行癌でも手術を行う場合もあります。
手術ができたからといって必ず治るとは言い切れないことはもどかしいですね
根治手術
これは比較的早期で他への遠隔転移がない場合に行われます。
遠隔転移とは肝臓や肺など原発巣(おおもとの癌病変)から遠い臓器に転移があることを言います。
転移もなく早期癌の場合は根治を目指せる可能性も高い治療になります。
ただがん細胞の一つ一つは目に見えず、ある程度の塊にならないとCTなどの画像には写りません。
手術をしても完全に取り切れたかどうかは5年の経過観察を経て評価することになります。
姑息手術
手術は進行癌にも行われます。
これは根治を目指すのではなく、生活に支障が少なく過ごせるための治療です。
例えば胃癌や大腸癌で腫瘍が消化管の通り道を塞いでしまった場合、食べたものを口から腸へ流すことができず、胃に内容物がたくさん溜まってしまうと嘔吐(吐き出す)してしまいます。
この状態をイレウスと言います。
腸の通り道を塞いでしまった腫瘍を取り除くあるいは違う道を作ってあげることで、患者さんはまた食事が食べられるようになる可能性があります。
そういった治療は生活の質を少しでも高めるための治療であり、病気を治すことが目的ではありません。
化学療法
化学療法は抗がん剤を投与してがん細胞の増殖を抑制する治療で全身治療になります。
副作用が他の治療よりも多いのは正常な細胞までも影響を及ぼすのが原因です。
術前化学療法
手術の前に化学療法を行うことで、癌の大きさを小さくして手術で取り切れるようにすることが目的です。
癌を小さくすることで手術時の体への負担も軽減できます。
術後化学療法
手術で取り切れたとしても目に見えない癌細胞が残っている可能性があります。
そのため再発や転移を防ぐために行われます。
これは確率論なので治療を受けなくても再発・転移はないかもしれないし、治療を受けても再発・転移はするかもしれません。
医師と納得できるようにしっかり相談する必要があります。
進行再発癌の治療
手術ができない進行再発癌に対して行われます。
癌の進行を少しでも遅くする
癌の大きさを小さくする
ことが目的です。
実際の効果は治療をしてみないとわかりません。
必ず効くという保証はないのです。
血液癌など手術を必要としない場合、白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などは手術療法は適応にはなりません。
この場合は化学療法が第一選択になります。
放射線治療
放射線治療も癌そのものに放射線を当てる治療なので局所治療になります。
大きく根治を目指す治療、症状を和らげる治療に別けられます。
根治照射
癌のある部分に放射線治療を行います。
再発・転移でも局所に留まっていれば治療できる可能性があります。
術前照射
手術前に癌を小さくして手術をしやすくすることが目的です。
術後照射
手術で取り切れなかった癌を死滅させて再発を防ぐことが目的です。
補助療法
血液がんの場合、造血幹細胞移植を行う前処置として治療される場合があります。
緩和照射
骨転移による痛み、脳転移による麻痺などの神経症状、嘔気嘔吐などの苦痛症状など
癌による症状を和らげることが目的です。
まとめ
がん治療の代表的な3つの治療法について説明しました。
どの治療法でもそうですが、必ず完治できるという保証は残念ながらありません。
治療後も定期的に経過観察を続け、ほとんどの癌では5年間再発がないことが確認できれば一応完治したということになります。
乳癌などの一部の癌では10年間経過観察が必要なものもあります
どの治療を行うとしても医師と十分話し合って、治療法のメリットとデメリットをしっかり理解して治療に臨むことが求められます。
「治療のことはよくわからないから」
そう言われる患者さんも少なくありません。
治療を受けるのは患者さんご自身ですから、あとから後悔しないようにわからないことは何度でも質問してくださいね。