公的制度

治療中でも介護保険を上手に活用して化学療法を長く続けていこう

ジュン

がん治療中の患者さんによくお勧めする介護保険。

介護保険というと高齢者や寝たきりの方が利用する制度と思いがちですが、がん治療中の方にもぜひとも利用していただきたい制度なんです。

あまり良いイメージを持たれず利用を躊躇される方が多いのですが、治療を長く続けていくためにはメリットも多い制度です。

今回はこの介護保険制度について説明します。

https://petitnurse.com/high-medical-expenses-system

介護保険制度とは

2000年に介護保険法が施行され、自宅で過ごすときに介護保険を使って様々な介護サービスが利用できるようになりました。

以後3年おきに制度の見直しが繰り返されています。

[box06 title=”介護保険の仕組み”]■自立支援…高齢者の自立を支援すること
■利用者本位…利用者の選択により多様な主体の保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる
■社会保険方式…給付と負担の関係が明確な社会保険方式[/box06]

制度の創設は高齢化社会に伴い地域で高齢者をどう支えるかというところから始まった制度なので、イメージとしては高齢者が利用する制度と思いがちですが、40歳以上の方なら条件によって利用が可能です。

介護保険は誰が利用できるの?

被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者があります。

第1号被保険者:65歳以上の方
第2号被保険者:40~64歳の医療保険加入者の方

参考:厚生労働省HPより

65歳以上の方なら日常生活に支援が必要な状態なら誰でも利用できます。

64歳以下の方は特定疾病に当てはまる方のみ利用ができます。

実際に利用できるかは介護保険申請をして、要支援または要介護と認定されれば利用が可能になりますので、申請時には確定ではありません。

がん患者さんの場合40歳以上であれば利用ができる可能性はあります。

ここで気になるのが特定疾病とされているところの「末期がん」という文言ですね。

がん患者さんであれば誰でもというわけではないということです。

患者さんにはこの「末期がん」という文言がとてもネガティブな印象を与えてしまいますが、実際の病状としての「末期」とは違うということを理解していただければと思います。

要支援・要介護状態が「がん」によって引き起こされている

そんなイメージでいていただけるといいなと思います。

ぜひ利用して欲しいオススメの介護サービス3つ!

介護保険で利用できるサービスはさまざまです。

利用するサービスの数や利用頻度は利用者さんの状態に応じて変更もできます。

今回は私が考えるお勧めのサービスを紹介したいと思います。

介護ベッドや車椅子などの福祉用具のレンタル

介護保険で利用できるサービスは人的サービスだけではありません。

まず一番にご紹介するのは介護ベッド。

最近はベッドで休まれる方が多いと思いますが、体力が落ちて自分で起き上がるのに大変になってくると身体を起こすのにも一苦労です。

介護ベッドはモーターがついているので、身体を起こすのもモーターにお願いできます。

寝室が2階という方も多いですね。

その場合階段を上がるのにも一苦労ということもあるので、ベッドを1階に下ろしたいとなることもあります。

介護ベッドをレンタルすれば業者さんが1階に設置してくれます。

[chat face=”woman2″ name=”” align=”left” border=”red” bg=”none”]ベッドなんて置く場所ないよ![/chat]

[chat face=”IMG_3632.png” name=”ジュン” align=”right” border=”red” bg=”none”]たたみ1畳分あればベッドは設置できるよ![/chat]

その他車椅子のレンタルなどもできます。

浴室で使うシャワーチェアやポータブルトイレは購入となりますが、介護保険を使って購入することができます。

手すりの取り付けや段差を解消する住宅改修

ご自宅での移動やトイレ・浴室での転倒を予防するには、手すりを付けたり段差を解消することも必要になってきます。

これはできる限り自立した生活を維持するのに役立ちます。

化学療法を続ける指標として、ご自分で自立した生活が維持できるというものがあります。

医療者が判定しているPS(Performance Status:パフォーマンスステータス)

PS0:まったく問題なく活動できる
PS1:歩行可能で軽作業や座っての作業は行うことができる
PS2:歩行可能で自分の身の回りのことはすべてでき日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS3:限られた自分の身の回りのことしかできず日中の50%以上をベッドか車椅子で過ごす
PS4:まったく動けず自分の身の回りのことはまったくできない。完全にベッドか車椅子で過ごす。

PSでいうと2より小さい数字でないと化学療法を継続できません。

ご自宅での生活をできる限り自立して行えるように、介護保険を利用することはとても大切になってきますね。

支給限度基準額は20万円です。
自己負担割合によって支給される金額は変わってきますのでご注意ください。

支給を受けるには手続きも必要です。

住宅改修を考えている場合は事前にケアマネージャーさんに相談しましょう。

訪問看護

訪問看護は医療保険または介護保険どちらかで利用することになります。

利用頻度が多くない場合は介護保険での利用になることが多いです。

訪問看護についてご紹介すると多くの方がまだ早いと言われますが、早く利用を始めることの方がメリットがあるんです。

[chat face=”woman2″ name=”” align=”left” border=”red” bg=”none”]まだ自分でいろいろできるし訪問看護は早いんじゃないの?[/chat]

[chat face=”IMG_3632.png” name=”ジュン” align=”right” border=”red” bg=”none”]元気なうちから利用して訪問看護師さんとお馴染みになることが大切だよ!
いざというときあなたのことをちゃんとわかってもらっている上で対応してくれるからね![/chat]

訪問看護を利用することの一番のメリットは、急な体調不良のときに緊急で対応してもらえることです。

具合が悪くなってから利用すると、あなたがどんな病気でどんな治療を受けてきたのか、そしてあなたが何を大切にして過ごしているのかを十分に把握できないまま対応することになります。

訪問看護師さんがあなたのことを十分理解できるまでには、ある程度の時間が必要になります。

その時間を「まだ早いんじゃないの?」と思ってしまう時期に、当てていただけるといいのではと思っています。

介護保険を利用して化学療法を長く続けていこうまとめ

介護保険というと高齢者や寝たきりの方が利用するサービスというイメージですが、がん治療中の方にも積極的に利用して欲しいと思っています。

それは自分で身の回りのことができ自立した生活を送ることが、化学療法を長く続ける秘訣になるからです。

64歳以下の方は申請書に「末期がん」と記載しないと申請できないのですが、それは実際の病状とは違う、生活に支障がある状態なんだと思っていただけたらと思います。

気持ちとしては抵抗があると思いますが、治療を長く続けていけること、それが一番の望みです。

あなたが大切にしたいものを守れますように。

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