こんにちは、ジュンです。
先日、強い腹痛に襲われまして。
これまでもたまーに迷走神経反射を起こすような腹痛が度々あったので、一度ざっくりと検査してもらっておいた方がいいかなということで一通りやってもらったんです。
まぁ、そこで人生の危機に直面したわけですが、これも患者さんの心の反応を直に経験できた出来事として、しっかりと記憶に残しておきたいなと思いました。
突然襲われる強い腹痛
以前から忘れた頃に強い腹痛に襲われること年に数回。原因はわからずも、数時間ジグるえば治まっていたので気になりつつも放置していました。
(↑みなさんは放置しないでね!)
先日の腹痛も同じようだったのですが、少し違いがありました。
それは「これ、死ぬかも??」と思うくらい、だったことですね。
床に倒れながら頭の中は冷静で初めて「救急車呼ばないとマズイよね?」「本気で死にそう」と思いました。
自力で移動することもできず、数時間は床に倒れたまま。
痛みの波がわずかに緩くなったところでも起き上がることはできず、床を這いずっていくのも冷や汗が吹き出て大変でした。
なんとか鎮痛薬を飲むことができ、しばらくして腹痛が治まりつつあったので、当日は様子見。翌日出勤したときに、いつも一緒に仕事をしている先生にお願いして、くまなく検査してもらうことにしたんです。
秋頃に仕事を辞めると決まっていることもあって、この際何か異常があるのかないのかをはっきりさせておいた方がいいなと思ったのも理由のひとつです。
というわけで、ここから私にとって心落ち着かない日々が始まったんです。
検査の結果は『がんの疑い』を示すものばかり
私の心配を消せるようにと先生はほぼスクリーニングとして検査を組んでくれました。
受けた検査は…
- 採血(腫瘍マーカーも含む)
- 全身CT
- 胃内視鏡
- 下部消化管内視鏡
- 後日追加でMRI
まずは、腫瘍マーカーで先生が驚いて連絡をくれました。CA19-9が820を超える数値だったからです。
消化器内科医としては、まず膵胆の腫瘍を疑いますし、消化管の精査をしたくなるんですよね。で、続いてCTにも異常所見があって、読影の結果は『腹部リンパ節転移の疑い』でした。
というわけで、上下消化管内視鏡を受けることになりました。
私自身、消化管に異常があるとは思っていなかったので、そこはあまり不安ではありませんでしたが、とにかく内視鏡を受けることが嫌だったので、できれば避けたかったんですよね。
でも『がんの疑い』という現実を受けては、嫌がっている場合ではないので問題ないということを確認するためということで検査を受けました。
結果は問題なし
ここで一旦一安心するわけですが、問題は消化器だけを確認すればいいわけではないということです。婦人科系も同じ腫瘍マーカーが上がることがあるので、そちらも同時進行で精査をする必要がありました。
婦人科ってなかなかいい病院ないですよね?
さて、婦人科をどこの病院で診てもらおうか、という問題です。
私が勤める病院では診て欲しくないなーと思っていたので、同僚から情報収集です。ほぼ、この先生がいいよ!とみんなが口を揃えて紹介してくださった先生にお願いすることにしました。
婦人科の評判ってみなさんはどのように収集しているんでしょうか。私が医療従事者だからなのかもしれませんが、ここで診てもらいたい!って思えるようなところが少ないんですよね。
あそこに行ってみようかと思っても、遠かったりもするし。
実際お世話になることにした病院もかなり遠方になりました。
診察の予約日まで少し時間があったので、その間にMRIも撮ってもらうことにしたんです。おそらく初診のときにMRIもっていう話になると思ったので。必要な検査は済ませておいた方が、診断や治療が早くできるからです。
このMRIの結果も『子宮体癌の疑い』という見たくないものに。
というわけで、先日診察を受けてきました。
結果は…
子宮内膜症でいいだろうという診断でした。
全身の力が抜けたのは言うまでもありません。
がん患者さんの気持ちを体験したこと
最初の検査結果から、私はいろいろと調べました。
私の推定は当初から『子宮内膜症』
結果としてはその通りとなったわけですが、自信があったわけではありません。
医療の世界では何か怪しいところがあれば正確な診断をつけるまでは大抵は『がんの疑い』とするのですが、それがどれだけ患者さんの不安を強めるかということを身をもって経験しました。
患者さんたちがよく言っている「毎回検査の結果を聞くのが怖い」ということ。
私は約15年緩和ケアに携わっていますから、その気持ちもよくわかります。ただ頭でわかっていることと心の動揺を実際に感じたことでは、やっぱり大きく違いますよね。
結局、理解するといっても要は他人事ですから、「こういう反応を示すだろう」とわかっていることと、私の中の感情として感じたことは異なります。
仕事では患者さんがそのように感じることは当たり前、心の反応の示し方は多くはこうあることが多い、など知識上での理解になります。
「そう思うよね」「そう感じるよね」と共感することはできても、実際にどのように心が反応するのかまではわかりません。
私が今回のことで体験したあとも、患者さんとかかわる中ではやはり他人事ですから、同じように私の心が反応するわけではありません。でも、少なからず今までとは違った思いを持って患者さんとかかわれるのではないかなと思っています。
悪いことばかり想定してしまうこと、不安で何も手をつけられなくなること、混乱して冷静に状況を把握することが難しくなること
そんな患者さんはたくさんいます。反対にたくさん情報を調べすぎて、さらに悪い方向ばかりに繋げてしまったり、標準治療から外れてしまう患者さんもいます。
どうしたら少しでも落ち着いて情報を整理できて、これからの治療や生活、ご自身の在り方を考えていけるようになるのか、その辺りのヒントも見えたかなと思っています。
何にしてもこの不安感はもう感じたくないなというのが正直な気持ち。でも2人に1人ががんになる時代。いつかまたこんな気持ちを体験するときがくるのかと思うと、今したいことをしてやり切った日々を送りながらそのときを迎えられるようにしたいなと思っています。
新しい挑戦を始めますよー!